NECモバイリング40年史
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23●20082008年 注目の出来事iPhone 3Gが日本上陸 2008年6月、米国Apple社のスティーブ・ジョブズ氏はWDC2008の基調講演のなかで、次世代のiPhoneとして3Gの通信に対応したiPhone 3Gを発表した。iPhone 3Gは7月から北米や欧州、オーストラリア、日本、香港など22地域で発売が開始され、日本ではソフトバンクモバイルが独占販売することになった。 iPhone 3Gは携帯電話にはなかったタッチパネルの操作性や、インターネットサービスの利便性の高さ、音楽配信をはじめとする豊富なコンテンツで人気を集めた。翌年には低価格を武器にしたiPhone 3GSが市場に登場し、世界的なトレンドとなっていった。N906iμN906iN-01AN-02AN-03AN906iLonefone中川勝博社長就任 1971年4月NECに入社。1997年7月同社交換移動通信事業本部移動通信国内システム本部長、2006年4月同社執行役員常務兼第2キャリアソリューション事業本部長などを歴任後、当社第8代社長に就いた。 就任にあたり、経営の基本として「問題の特定」、「実行の優先順位」、「わかりやすさ」の3点を掲げ、競合他社の分析強化と「プロジェクトリーダー制」(業績評価制度)導入の重要性を打ち出した。 また、「高度ICT社会への到来に向けて光り輝く企業へ」を基本方針に既存事業の強化、新しいビジネスの創造と育成を推進し、社員に対しては創意工夫を発揮し自らが経営者という意気込みで「知識労働者」を目指すように指導した。携帯電話修理事業で“保有在庫の見える化”実施 2008年9月、修理需要が急増するなかで、名古屋サービスセンターにおいて“かんばん方式”として修理部材の後補充方式のトライアル導入が開始された。この当時、拠点の修理部材保有在庫を把握するためには膨大な部材の棚卸作業が必要となり、リアルタイムで数値を把握することは困難であった。また、拠点からサプライチェーンマネジメント(SCM)部への修理部材要求においては、リスト作成に専門的な経験が必要となるため特定のメンバーしか作業ができず、一方でSCM部では在庫や他拠点の要求数量を考慮しない方式であったため払い出し部材の管理抑制がむずかしく、“拠点在庫の見える化”を実現するシステム構築が求められていた。 SCMサービス部(SCM部が名称変更)では全社基幹システム「アリーナ」を使用して部材の管理を行ってきたが、他部門も利用しているシステムであるため大規模なシステムの改修は容易ではなかった。“かんばん方式”を早期に実現させるためにシステムの新規開発を行うこととし、時間短縮のため既存の在庫管理システムパッケージソフトをカスタマイズする方式で“かんばん+ハンディターミナル”を利用した「後補充方式在庫管理システム」の開発に着手した。 名古屋サービスセンターにおけるトライアル導入後、問題点の洗い出しを行って全国へ展開し、全国での後補充方式在庫管理システムの運用が開始され“保有在庫の見える化”が実現した。これにより拠点ごとの情報把握が可能となり、長期滞留部材・過剰保有部材の発見が容易となったことで全修理拠点の保有部材の最適化を実現した。「プロジェクトリーダー制」導入 携帯電話の国内販売はピークを越えて減少に転じた。2008年10月、厳しい市場環境下において、業績向上のための施策として「プロジェクトリーダー制」を導入した。 ショップ、サービスセンター、エンジニアリングセンターなど、最小損益単位(プロジェクト)別に事業責任者(プロジェクトリーダー:マネージャークラス、ショップの場合は店長)を定めて、半期ごとに数値目標を設定する。その成果を明確な基準で算定し、個人業績を評価する仕組みとした。とくに好業績を上げたリーダーには表彰もしている。 この制度によって、社員のモチベーションが非常に高まった。スタート時の2008年下期以降、7期連続で前年比増益を記録し、業績向上の原動力となっている。新たな基地局関連ビジネスを開拓 2008年10月、海外の通信機器メーカーから基地局の工事・試験業務を受注した。設計から設置工事・保守までの無線通信エンジニアリング力が高く評価された結果である。NEC製基地局の設置が中心だった当社にとって大きな転換期となった。iPhone 3G第8代社長 中川 勝博「プロジェクトリーダー制」のポスター
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